大阪には関東の者には難物な地名が数多くある。十三と書いてなんで「じゅうそう」なのか。放出がどうすれば「はなてん」と読めるのか。それぞれの背景に、長い歴史の物語があるのだろう。堺市にある百舌鳥、という地名も難読地名としてよく挙げられる。この地名の面倒なところは、漢字だと3文字なのに、読みは2文字なのだ。答えはモズ。そう、あの「モズが枯れ木で鳴いている」のモズだ。
秋になると活動が活発になる里の鳥。縄張り争いが激しくなり、ケーンケンと鋭い声で鳴く。オスだけではなくメスも鳴く。この鳴き声を高鳴きと言う。この声が聞こえるようになると、急に秋が深まってゆく。木枯らし、初霜、スキー場からの雪便り。遠くの山は雪化粧。まさに初冬を呼ぶ声だと思う。
目の後ろに濃い黒いスジが入るのがオスの特徴。なかなか精悍な顔立ちだ。この野鳥、肉食専科だ。一年を通して昆虫や、蛙、カナヘビなどを襲って食べる。樹木のとげなどに獲物を刺して、すぐには食べないという行動もする。モズのはやにえと呼ばれる。真冬に備えた保存食かとおもいきや、結構春になってもそのままだったりする。それでもやはり越冬用の備えだというのが定説になってきているようだが、私はモズと話ができるわけではないので、正確なところはよくわからない。このモズのオスは、敵の侵入を警戒したのか。下方を睥睨して鋭い声を発していた。
高鳴きは、決して枯木の上だけで鳴くわけではない。飛びながら鳴くことも決して珍しくはない。
目の後ろに黒い筋がみられないこの個体はメス。モズの営巣はかなり早く早春のころを迎えると子育ての時期に入る。残念ながら里山環境の変化からか、東京都区部では絶滅危惧2類、神奈川県でも減少が懸念されている。
「ケーンケン」という高鳴きを聞いたら、立ち止まって高い木の梢を見る。高圧線の鉄塔の上とかにいるかもしれない。家に帰ったら洋服箪笥からコートを出してみるのも悪くはない。
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