2021年10月24日日曜日

街の中でのバードウオッチング

 バードウオッチングは、必ずしも郊外の里山や海辺、川や湖沼に行かなくてもできます。特に樹の葉が落ちる冬場は野鳥が探しやすく入門には最適です。スズメ、カラス、シジュウカラ、ハクセキレイ、メジロ。このような一年中見られる野鳥に加えて冬ならではの野鳥がぼつぼつとみられる時期になりました。

ジョウビタキです。この野鳥も冬の足音が聞こえてくると姿を見かけるようになります。こちらの写真はオスです。オスとメスとでは色合いがだいぶ異なります。冬の住宅地でも比較的容易にみつかると思います。手がかりは、「ヒーヒー」という鳴き声。それにときどき合いの手を入れるような「カッカッカ」といった声を混ぜます。オス、メスともにこのような鳴き声を冬場は発します。この「カッカッカ」という声が、火打石を叩く音のように感じて「ヒタキ」という名前がついた、と言う話を聞いたこともあります。こちらの写真はメス。おっと、虫は苦手ですか。ごめんなさい、少しだけ我慢していただけますか。

この野鳥は、地域によってさまざまな呼ばれ方をしています。私の出身地である関東平野のヘリ、関東山地沿いでは、「ダンゴショイ」と呼ぶ人もいます。「ダンゴショイが来たぁな。もうじき霜だんべ」。はい、私の出身地はべえべえ言葉圏です。「ジョウビタキがきたな、もうじき霜がおりる時期になるだろうな」標準語ではこんな感じか。背中の白い紋様がまるでお団子を背負っているように見えるからダンゴショイ。

「バカっ鳥」とか「バカッチョ」とか呼ばれている地域もあるようです。ジョウビタキは昆虫とかが主食。農家の方が畑を耕す。掘り起こした土から飛び出してくるごちそうを狙って、作業する人のそばに平気で近寄る個体もあるようです。私も過去に手を伸ばせば届く距離にまで迫られた経験があります。ジョウビタキという正式な名前だけではなく、それぞれの土地の人々の営みの中で親しみを込めてつけられた名前も良いものです。ほら、このジョウビタキのオスもバッタ(イナゴかな)が飛び出したのを捕まえました。

日本の特に暖地では冬に見られる渡り鳥です。夏は大陸の方に渡り、繁殖します。一部は長野県あたりでも繁殖が確認されているようです。東京の都心部でみかけることもあります。絶滅危惧とは幸い無縁な種類です。


「垣根の垣根のまがりかど」、曲がりかどで焚火を見かけることはめっきり少なくなりました。防災の点からもしかたがないですね。でも、耳をすませば「カッカッカ」という火打石を叩く音が聞こえてくるかもしれません。そっと探してみてください。きっとオレンジ色の暖かい色の野鳥、ジョウビタキが見つかるでしょう。住宅地の垣根がとてもよく似合います。

2021年10月21日木曜日

枯木で・・・

大阪には関東の者には難物な地名が数多くある。十三と書いてなんで「じゅうそう」なのか。放出がどうすれば「はなてん」と読めるのか。それぞれの背景に、長い歴史の物語があるのだろう。堺市にある百舌鳥、という地名も難読地名としてよく挙げられる。この地名の面倒なところは、漢字だと3文字なのに、読みは2文字なのだ。答えはモズ。そう、あの「モズが枯れ木で鳴いている」のモズだ。

秋になると活動が活発になる里の鳥。縄張り争いが激しくなり、ケーンケンと鋭い声で鳴く。オスだけではなくメスも鳴く。この鳴き声を高鳴きと言う。この声が聞こえるようになると、急に秋が深まってゆく。木枯らし、初霜、スキー場からの雪便り。遠くの山は雪化粧。まさに初冬を呼ぶ声だと思う。
目の後ろに濃い黒いスジが入るのがオスの特徴。なかなか精悍な顔立ちだ。この野鳥、肉食専科だ。一年を通して昆虫や、蛙、カナヘビなどを襲って食べる。樹木のとげなどに獲物を刺して、すぐには食べないという行動もする。モズのはやにえと呼ばれる。真冬に備えた保存食かとおもいきや、結構春になってもそのままだったりする。それでもやはり越冬用の備えだというのが定説になってきているようだが、私はモズと話ができるわけではないので、正確なところはよくわからない。

このモズのオスは、敵の侵入を警戒したのか。下方を睥睨して鋭い声を発していた。
高鳴きは、決して枯木の上だけで鳴くわけではない。飛びながら鳴くことも決して珍しくはない。

目の後ろに黒い筋がみられないこの個体はメス。モズの営巣はかなり早く早春のころを迎えると子育ての時期に入る。残念ながら里山環境の変化からか、東京都区部では絶滅危惧2類、神奈川県でも減少が懸念されている。
「ケーンケン」という高鳴きを聞いたら、立ち止まって高い木の梢を見る。高圧線の鉄塔の上とかにいるかもしれない。家に帰ったら洋服箪笥からコートを出してみるのも悪くはない。


2021年10月6日水曜日

種名鑑別

中秋のころ、毎年繰り返すヒタキ鑑別。さて、エゾビタキか、コサメビタキか、それともサメビタキか。はたまたキビタキやオオルリのメスか。
目の前に飛んできてくれたこのヒタキは。まず、ポイント。風切り羽の隅が白ではなく、鈍いオレンジ色。バフ色、と言います。くりっとしたアイリング。細いですがしっかりしたアイリングです。風切り羽の特徴、初列突出がスラっと長い。おちょぼ口? 小さめの嘴。嘴の裏の黄色のさしぐあい。目と嘴のあいだの白線がうっすら細い。顎の中心にかけてぼんやりと褐色。顎の中心は白。胸部の紋様がぼんやりとしている。ここまでくると大体ほぼ間違いなくあれだ、となります。
更に決定的なもの。下尾筒といわれる部位。尾羽の付け根から腹部にかけての部分に左右対称な下向きの三角形の紋様がある。軸斑と言われるものがある。なかなか軸版までしっかり観察できるチャンスは少ない。
サメビタキ、と断定しても良いでしょう。サメビタキ、コサメビタキ、エゾビタキは秋、ほぼ同じ時期に南を目指します。飛んでいる小さな虫を食べてエネルギー補給。台湾、フィリピン、マレー半島。かなり遠くまで渡るようです。サメビタキ、コサメビタキ、エゾビタキの見分け方は大阪南港野鳥園のウエブサイトがとても参考になります。
おっと、ただでさえすぐそばだったのにさらに私めがけて飛んできた!
地味な野鳥。スズメとどこが違うの?とか言われそうだが、美しい背景に恵まれた。
長い旅路を無事に渡って行きますように。