今回のとりさんは、ツツドリと言う夏鳥です。ツツドリという名前のいわれは、鳴き声です。筒の口を手のひらで叩くと「ボンボン・・・ボン・・・ボンボン」そんな音がしますよね。鳴き声がまさにそれなんです。筒を叩くときのような鳴き声、それでツツドリです。鳩のように見えるかもしれませんね。サイズもドバトに近いですが、嘴の形や腹部の模様が明らかに違います。
この野鳥、子育てのやりかたがかなり変わっています。自分では子育てをしないんです。ウグイスなど他の鳥の巣に卵を産み、雛が他の鳥の卵より一足先に孵化する。するとほかの卵を巣から押し出してしまう。産み付けられた野鳥はツツドリの雛を一生懸命育ててしまう。このような子育てのしかたを托卵と言います。他にもそんな子育てのやりかたをする鳥がいますね。カッコウ、ホトトギスは托卵をする野鳥として有名です。またジュウイチという野鳥も托卵します。ジュウイチも鳴き声で名付けられました。鳴き声が「ジュウイチ」と言っているみたいに聞こえる。ツツドリ、カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ、これみんな同じ種類の野鳥です。姿もかなり似ています。この季節は鳴き声ではっきりわかりますが、秋の渡りの時は鳴き声を立てない。だから区別が難しい。
ところで、話は変わります。ツツドリの周りの木の葉が異様に感じませんか? そうなんですミズキやガマズミの木なのですが、食害を受けています。しかも丸坊主にちかいくらいまでに。
(注意:これから先、毛虫がでてきます)。
この場所は、ここ数年この時期になると、ミズキやガマズミを食害する蛾の幼虫(毛虫)の大発生が繰り返されています。ほとんど丸坊主になるほどまで食害されるので樹勢にも影響があるのではないかと心配されています。異常発生と言っても良いでしょう。毛虫の正体は、キアシドクガという蛾の幼虫。ドクガと名付けられていますが、皮膚炎を起こすような危険は全くありません。
次の写真。ツツドリがその毛虫を食べようとしています。ツツドリは毛虫が大好物。おそらくこの環境はツツドリにとっては酒池肉林のように見えるのかもしれません。そして、もしかすると、ツツドリがキアシドクガの異常発生を抑える切り札の天敵になるのでは、と、一瞬思ったのですが、難しいですね。まず、ツツドリは子育てをしない。子育てのために多量の餌を必要とするけど、ツツドリはエサは自分で食べるだけで十分。しかも群れをなして渡ってくるような野鳥ではない。基本は単独行動。ああ、これはずっと毎年キアシドクガの大発生が続いてしまうのか?
と、思って、最近のキアシドクガの状況がどうなのか調べてみました。一部では、異常発生が終わりつつあるといいます。異常発生が始まってから5年くらいでおさまるようなのです(参考)。理由は、あまりにも大発生してしまうものだから、食べるものがなくなる。すると、どの幼虫も成長できなくなり絶えてしまう。そういう構造らしい。すると、やがてミズキもガマズミも樹勢を取り戻すと言う。なるほど生物の繁殖はそのような形でコントロールされることもあるのですね。
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